
February 6,1997
私は福島県の農家の生まれ、戦後の日本の復興には、土に根ざした産業しかないものと少年の胸に刻み、大学卒業6年後の昭和34年に山梨のワインランドに参りました。その時に出会ったワインが強烈で印象深く、再び味わうことの出来ないワインだったのです。即ち、アルコール分16〜17%、しかも甘口、原料は甲州ぶどう、1.8Lビンに詰められ研究室の棚奥にひそかに置かれた何本かの一本でした。
そのワインは第2時世界大戦中、南海の大空で活躍されている海軍航空隊員用に造られたもので、食料の乏しい時代に軍需物資として葡萄農家から尊い葡萄の供出を受け、砂糖をふんだんに使い、気温の高い南海の地でも変質しないようにと、アルコール耐性酵母に依る特別吟醸のワインだったのです。
昭和17〜18年頃に醸造されたようですが、10数年後のその時、香りの高い、ゴールデンカラーの飲みよいワインだったと記憶しています。因みにその酵母は、当時理化学研究所の研究員で東京農業大学助教授 内藤敬博士の分離育成になるものでした。
時代のニーズに応えた先人達のご活躍が偲ばれます。

e-mail:marq@wine.or.jp
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